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シュノーケリング3

シュノーケリング3

初めての沖縄でのシュノーケリング、20年ぶりの海に怖気づいてしまったものの、お得意の居直り精神でフィンをつけて海に飛び込んだ。

ライフジャケットをつけているから海中に沈むことはないのだが、ぷかぷか浮いているのも妙な気持ちである。「いいですか、パンを投げますよ。このパンを持っていると魚が寄ってきますからね」青年はボートの上から丸いパンを私達に投げてくれた。パンを手にしながら、意を決して顔をつけると、そこには今までに見たことのない景色が広がっていた。

これまでテレビで海の中を映した映像を見ても私は特別な感動もなく「へえ、こういうものなのか」と思っただけだった。ところが沖縄の海に行って、シュノーケルをやりながら、のぞいた光景を見て私は驚いた。

「これって本当に、本当なの」とつぶやきながら、水面下に釘付けになった。これが自然にできたものであるとは、とてもじゃないけど、思えなかったからだ。

グリーンとブルーが混ざったような不思議な色合いが、見渡す限りに広がっている。足元には白、ベージュ、紫色のテーブルサンゴが見える。

サンゴの色に紫色まであるとは知らなかった。その横には、どーんと深くなっている部分がある。底に行くに従って、グリーンとブルーが段々濃くなっていって、深い部分がどうなっているのか全く見えない。

「うっ」これを見た時、私は突然、恐ろしくなった。

息はちゃんとシュノーケルで出来ているし、ライフジャケットを着ているから、そのまま海底に沈んでしまうことはない。そう頭では分かっていながらも恐怖はのしかかり、「わあ」と言いながら、手足をばたばたさせてあばれ、そばで泳いでいた友達の頭をげんこつで思いっ切りひっぱたいてしまったのであった。

できれば水面に顔をだして、一息つくために立ち泳ぎをしたいのだが、うまくいかない。脚ひれが邪魔になって体が垂直にならず、どうしても腹這いで浮かんでしまうのであるライフジャケットと脚ひれをつけた体を、だましだまし、動かしながら、やっとの思いで立ち泳ぎ状態になりかけると、又、腹ばい状態になってしまう。このままで顔を水面の上に出すとなると体をエビぞりするしかなく、私は根性の無いしゃちほこみたいな恰好で、ぷか~っと海面に浮いていた。