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食の好み 完結編

食の好み 完結編

人によってゲテモノだと思う食材は様々だ。

別に私はレストランに行って羊の脳味噌を注文したわけではない。

子牛のステーキを注文したら、頼みもしないのに、肉の上に載っていたのを食べただけである。厚さが約1センチ、直径が500円玉位の大きさで、最初は何だかわからなかった。バターにしては溶けていないし、つついてみたが、柔らかくもなく,堅くもなく、不思議な感触だった。一口食べてみると、ほろ苦い。アンキモをちょっとくどくしたような味だった。「これは何ですか?」と気取ったウエイターに聞くと「羊の脳味噌でございます」とお辞儀をしながら丁寧に答えた。

一瞬、ひるんだが、これも経験だと思い、全部たいらげた。別においしくもなく、まずくもなく、一度食べたら、もう一生食べなくても平気な味だった。

「だいたい、そんなゲテモノを例え500円玉くらいの大きさでも全部食べるなんて僕には信じられない~」と彼はまたまた言った。私も負けじと「ブリのあら煮みたいなものをゲテモノだという、あなたの方が、ずっと変だよ」と反論しても彼は、こちらの味覚の方がおかしいと言って譲らないのだ。

若い頃は肉類を食べ、歳をとるにつれて魚、野菜とさっぱりしたものを好むのは自然ではないかと思う。

でも最近の奥様向け雑誌の料理ページを見ると、やたらケチャップやマヨネーズを使った味のものが多くなっていて、和風の煮物の作り方を探すのはひと苦労である。私はケチャップ味が好きな彼を不思議な人だと思ったけれど、そういう人達が、今や、日本の味覚の中心になっているのかもしれない。

私は年寄りになったとき、毎食、ご飯、味噌汁、焼き魚、煮物を食べている姿を想像するが、きっとケチャップ味の魔力に憑りつかれた人達は、歳をとっても、まっかっかのパスタをフォークで食べるのだろう。

それも面白いような気もするが将来、私が老人ホームに入居して食堂の隣のテーブルにいる老人が、そんなものを食べていたら、やっぱり嫌だろうなと思ってしまう・・・・でも、ここだけの話、サロンの冷蔵庫にはケチャップ、マヨネーズは必需品でいつも常備している私である( ;∀;)ちなみに醤油は常備していない(^◇^)

あ~あ、人間とは、かくも不思議な生き物だねぇ~~おわり