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おっちょこちょい

おっちょこちょい

私は、何を隠そう、正真正銘の、ドジでおっちょこちょいである。

小学校に入学する前、公園の滑り台の、てっぺんで足がもつれて、どういうわけか、天地が逆になって、頭から下まで滑り降りた。私の前に滑っていて、尻に頭突きをされた男の子は、びっくりした顔で逆さになった私を、じーーっと見ていた。

家族と一緒にデパートに行ったとき、皆がすでに階下に下りたものと勘違いして焦り、下りのエスカレーターのてっぺんで、つまずいて、下の階まで転がり落ちたこともある。くるくるまわってるなぁと、妙に冷静になっているうちに下に落ち、ものすごい勢いで駆け寄ってきた店員さんが「大丈夫?大丈夫?」と何度も体をさすってくれたのを覚えている。

小学校の低学年の時はテレビでプロレスを観ていて、レスラーがコーナーポストから飛び降りて、敵に二―ドロップをかけるのが、とてもかっこよかったので、私もやってみようと思い立った。椅子を持ちだしてベビータンスによじ登り、敵に見立てた畳の上の座布団めがけて、技が決まるはずだったのに、ここでもバランスを崩して、自分が脳天逆落としとなってしまった。どの場合も無傷だったのは、ただただ運が良かっただけだろう。

成人になってからは、素面なのにもかかわらず、飲食店の便器に、はまったのが3回。前の使用者が男性だったらしく、便座が上がっていたのに気がつかずに座って、そのまま、ハマった。3回全てが同じ店というのが自分でも理解できない。それでも私は中高年になったら、きっと落ち着きが出て自然に治るものだと思っていた。

しかし、今、60代になったというのに一向に、おっちょこちょいは直る気配がない。

夕食後に食器洗いを終え、あ~終わったと、ほっとしつつ、タオルで手を拭く前に両手のしずくをシンクの上で勢いよく払おうとして、蛇口に指をしこたまぶつけた。「・・・・・・・」あまりの痛さに声も出ない。ジンジンとしびれる指をタオルで拭きながら、「どうしてこんなことに・・・」

昨日は仕事をしている時、お客様に金額を計算してお伝えしようと電卓を持って行き、数字を打ち込んでいたら「あの~~、それって、タイマーですけど??」っと思いっきり笑われた。

マスクの口とアゴの二重かけは日常茶飯事、メガネもそう。

この歳になって、この体たらく。この、おっちょこちょいは直る機会があるのか?それとも、このまま、更なる上を目指すのか?我ながら全く想像がつかないのである。