記事詳細

お返し

お返し

最近、駅の構内のアクセサリーを売っている店に教科書を抱えた学生風の男の子達の姿をよく見かける。

ごく普通の真面目そうな青年達だ。ある青年は18金のネックレスに2万5千円を払っている。ある青年二人組は「プラチナのピアス、プラチナのピアス」とブツブツ言いながら、ショーケースを熱心にのぞき込んでいたが、自分達では、どうにもならないとわかったのか、店員さんに助けを求めていた。

何とはなしに会話を聞いていたら彼女へのプレゼントを探しているらしい。

「まぁ、優しいのね」店員さんが冷やかすと彼は「いや~彼女がプラチナのピアスじゃなきゃ嫌だって言うもんですから~」と、ちょっと困ったように言った。

男性に、そんな物をねだった事もなく、もらった事も無い私は、その話を耳にして、お勤めをしているのならともかく、学生のボーイフレンドに対して「プラチナのピアスじゃなきゃ嫌だ」という女の子って一体、どういう神経をしてるんだろうと驚いてしまった。

今やバレンタインの女の子への、お返しは十倍返しが相場らしい。きっとバレンタインデーの仕掛け人と同じように「お返しはこのくらいの金額じゃないと恥ずかしいよ」などと、青年の見栄を刺激する業者の策略で、そうなってしまったのかもしれない。男の子は幾らお金があっても足らないなぁと哀れになってきた。

バレンタインデーにチョコを貰うと男の子は、やはり嬉しいらしいが、その後のことを考えると彼らは、ただ喜んでいるわけには行かない。ついこの間、チョコを貰った青年達は、女の子に嫌われないように十倍返しをするためにアルバイトに精を出しているんだろうか???