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ハイヒールⅡ

ハイヒールⅡ

20代の頃、通勤用の5センチヒールの靴を買い、これで何とか恰好がつくと思ったものの、実際、ヒールの靴を履いて仕事をするのは大変だった。

通勤は満員電車で自分の意思とは無関係に、乗客に押されて車内を移動させられる。ぺたんこの靴だと踏ん張れるが、ヒールがあると足元が不安定でたまらない。

毎日、会社に到着すると、ヘトヘトになっていた。

唯一、ヒールの靴を履いていて良かったのは、痴漢と遭遇した時に、ふとどきな奴らの足の甲にヒールを乗せて、全体重をかけると彼らはすぐに手を引っ込めた。

私の場合、結局、ヒールの靴は背が高く見えるとか、姿勢が良く見えるといった美的な外見上の必需品ではなく、痴漢撃退の為の道具になっていった。

ヒールを履く前は、ヒールでは走れないと考えていたけれど、履きなれてしまえば、体がその重心を保つようになってしまうので平気で走れるようになった。慣れてしまうと、ぺったんこの靴だとかえって重心が保たれず、歩きにくくさえ感じてしまう。

学生の時に股下が一気に13㎝は長くなるロンドンブーツを、家の中で試し履きしたことがあったが玉乗りをしたみたいに不安定で3歩も進めなかった。

ハイヒールが似合うのは、実はハイヒールを必要としない人達。

身長のバランスからいって、背の高い人が履いた方が、ずっと恰好がいい。

ちんちくりんの女性が履くと、「身長ごまかしてます」と言うのがミエミエで、ないものねだりで、みっともない。男性で言えば、ハッキリわかる、かつらと同じ様な存在である。バレバレなら、しなくてもいいのに、してしまう人間の悲しい性が世の中に、さらけ出される。それは短足よりもハゲよりも恥ずかしい。

昔は背の高い女性は引け目を感じて、履きたいハイヒールを履かなかったりしたそうだけれど、ハイヒールが似合うのだから堂々と、どんどん背を高くすればいいのだと思う。

若い人が流行を追って、小柄でもハイヒールを履くのは許せるが、ある程度の年齢になったら見た目のバランスがとれている方が恰好がいい。

ちんちくりんなのに無理してハイヒールを履いたら、膝や腰が、がっくんするのが関の山~でも私は、お婆ちゃんになってもハイヒール履きたい!!!