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初めてのワンコ2

初めてのワンコ2

私が、20代の頃、初めて犬を我が家に向かい入れた事の話を。

小学生の息子が夕方、散歩に連れ出すと、由緒正しい犬を、お散歩させていらっしゃる綺麗な、お姉さんが息子に言ったらしい。

「うちの犬は、血統書つきだから桃子ちゃんと遊べないの」私達は、ひどく傷ついた。

犬を連れてドライブに行く。桃子は後ろの座席のうらの窓に一ミリの隙なく、胴体を自ら押し込み、足は邪魔にならないのである。ドライブインで私達が降りると、桃子は窓から顔を出してよだれを出して待っている。

通りがかりの人が「やあ、柴犬だ、かわいいな」

私達は、おしっこの為に犬を外に出す。すると彼らは桃子の足と私達の顔を見て

ゲラゲラと笑いだすのである。

そういう世間の目にも、すっかり慣れて、いくつか季節を重ねて、私達の情も、その短い足の上にのっかっている桃子そのものに重ねていった。

桃子が犬なのである。

私は今、街で他の犬を見ると驚く。足が長すぎるのである。

長すぎて不様なのである。私と息子は他の犬を見ると「見なよ、あの足、ひょろけちゃってさ、かわいそーだね、あれ、折れやすいよ」「かっこわりー、犬らしくないね」

愛は身近にいるものを、いつくしむところから生まれて、それは実に不公平な、えこひいきで美意識すら変えるものなのだ。