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弁当

弁当

知人の娘さんが今年から働き始め、自分で弁当を作って会社に通っている。

昼食時になると会社の空いている会議室に集合して5~6人で仲良くお弁当を食べているのだそうだ。ある日、いつものように皆でお弁当を食べていると、30代半ばの先輩の男性が「ちょっといいかな」と入ってきて、皆が食べている弁当を見まわして「おいしそうだね。手作り、いいねぇ、僕、ごはんだけあるんだけど、ちょっとおかずを分けてもらっていい?」と手にしていた白飯のチンご飯を差し出した。新入社員の彼らは少しづつ自分のおかずをご飯の上にのせてあげた。

すると先輩は「うまいねぇ、あっ、これもうまい」と絶賛しながら、大喜びで食べている。先輩は「うちの奥さんは、僕にご飯を全然作ってくれないんだ。この間も家に帰ったら、奥さんと子供達は食べ終わっていたのだけど、ないと言われたから、コンビニで弁当を買って食べたんだ」と悲しそうにため息をついたらしい。

社内の人の話によると先輩の10歳下の美人で有名な奥さんは高校を卒業した直後に先輩と結婚した。先輩は奥さんが高校生の時に一目ぼれして、ほかの男に取られる前にと強引に結婚にこぎ着けたらしい。ところが奥さんは子供が二人生まれたのに家事の殆どをせず、ゲームばかりやっている。最低限の家事は自分と子供のためなので夫は含まれていない。先輩は日々の手料理にすらありつけないのに弁当を持って来られるような状態ではないのだ。

「ご飯がないってどういうこと?おかずの量を家族の人数分作っていれば、済む話じゃないの?」私が知人に聞くと、奥さんはゲーム以外は興味がなく、ご飯のおかずはウィンナーソーセージと卵と野菜を炒めるのが定番らしい。家族の頭数など関係なく、毎回ウィンナーを一袋使い、自分と子供達で食べきってしまうと「ない」ということになるらしい。

この先輩とやらには気の毒だとは思いつつ、外見だけに目を奪われて、妻になる人の性格や適性をチェックしなかったのだから「自業自得」と知人と私は意見の一致を見たのであった。