サロンの最高齢者である三味線の師匠は来年、傘寿を迎えるのだが、とても若く見える。
邦楽関係の人は男女にかかわらず、長寿の方が多いが、師匠曰く、高齢になった時、女性はシワかたるみか、どちらかになるそうなのである。
シワタイプは顔に深くシワが刻まれ、たるみタイプは目立ったシワはできないものの、たるんだ分がアゴ周辺でたぽたぽしているという。
「ブルドッグって言ったらいいのかしら。ああいう感じになるのよ」
究極の選択である。顔の輪郭が変形すると相当に印象が変わるから、シワの方がいいかなと思うのだが、私は平面顔でシワが少ないタイプなので、どちらかと言わず、たるみ方向に行く可能性が大だ。
「ということは毛穴が開いたブルドッグか」お先真っ暗ではないか。
無言になった私に師匠は「女優の○○さんから聞いたんだけどね」と某有名女優の名前を口にした。
「整形はね、一度にやるとばれるから、ちょこちょこっと少しづつやっていくんですって。そうするとわからないらしいわよ」と教えてくれた。
顔が売り物の女優さんは商売道具でもあるし、死活問題に発展する場合もあるから、そういう手段もあるだろう。しかし私は顔を売り物にしているわけでもないから、整形する必要もない。でも毛穴は開いたままでいいのかと案じているだけだ。
つづく