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痰Ⅱ

痰Ⅱ

痰を道路に履き捨てるのは痰じじいとばかり思っていたら、何と「痰ばば」まで出現してきたことに私はビックリ仰天した。

「とうとうあいつらは、そこまでやるようになったか・・・・」

えらいことになったものだ。電車の中で股を開くとか、化粧が厚いのはまだいい。女が道路に痰を吐く様になったら世も末である。

痰ばばの殆どは両手に荷物を持っている。

「どうしてあんなことするの?」

と彼女達に聞いたらば、すごい顔をして「だって両手がふさがっているんだから、しょうがないじゃないよ」と反撃してくるだろう。

しかし態度を見ていると彼女達には切羽詰まって、恥ずかしいことをどうしてもやらなくてはならない、という照れがみじんもない。

両手に安売りのトイレットペーパーやら、野菜を山のように持っている。

おばさんひとりで歩道の半分を占領している。おやおやと見ていると、あの恐ろしい「がーーっ」が聞こえてくる。

ひぇーっっと思いながら体を硬直させていると、痰ばばは上半身をちょっとそらし、反動をつけて「ぺっ」と痰を吐き捨てる。

こそこそなんてしない。堂々のふるまいである。

私が刀を持っていたら、手打ちにしてやりたいほど、憎たらしい奴らなのである。