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股Ⅱ

股Ⅱ

寒くなってくると暖房のきいた電車内で、気も股も緩むのか、「股ぱっくり」のおばさんが増えてくる。

「おばさんの股はなぜ開くか」という問題を経産婦の知り合いと議論したことがあった。というのは経産婦と未産婦では股関節の具合が違ってきて、ぱっくりするのではないかとふんだからだ。

彼女の話によると、だんだん、内股に肉がついてきて、膝をくっつけようにも肉が邪魔をしてしまう。

そこで彼女は意識して膝をつけるようにしているのだが、おばさん達はすでに筋肉がゆるんでしまって力が入らず、股を開いてしまうのだろうという、お答えだった。

この際、おばさん達に羞恥心を呼び起こさせるためには見て見ぬふりはいけないという結論に達した。ぱっくり開いた股に視線をおくれば一応は女なんだから、羞恥心も蘇るのではないかと思ったのである。

私は、おばさんの膝あたりを凝視した。

これで何とか気がついてくれないかしらと思った。

ところがふと顔を上げておばさんの顔を見たら、彼女は何を勘違いしたのか、股をぱっくりしたまま、にっこりと笑うではないか・・・。

「こりゃだめだ・・・」

あきらめた私の目に不気味色のズロースが焼き付いてしまったのであった。