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胸板1

胸板1

冬場はまずいないが薄着の時期にTシャツとジーンズという姿で「ほーら、かっこいいだろう」と言いたげに街を歩いている奴が、私は大嫌いだ。

そういうのに限って、冬はその上に革のブルゾンをはおっていたりする。

それを脱ぐと、あっという間に夏の恰好になる。

四季の衣替えを、ブルゾンの脱ぎ着だけで済ませている。どうもこういうタイプと私は相性が悪い。彼らはみな判で押したように胸板が厚く腕も太い。

きっと彼らも自分の体が自慢で仕方がないのだろうが、ああいうのがこれみよがしにTシャツ一枚で歩いているのを見ると、私は「げーーっ」となる。

顔立ちもきりりとしていて「こいつは、なかなかだ」と思えるような人はマレで殆どが「体だけが自慢の奴なんか、あっちいけーーー」っと言いたくなるようなタイプばかりだ。

もちろん、彼らみたいなのが好きな女の子は山ほどいる。

どちらかといえば、胸板は薄いよりは厚いほうが好ましいと思われている。

「私、ギリシャの彫刻みたいな人が好き」と目に星をいれていった友達もいる。

彼女は顔なんか二の次、三の次で高校生の時から、とにかくギリシャ彫刻のような胸を持った男性を必死に探していた。

水泳の授業の時など彼女は嬉しさで失神しそうになっていた。

そこでおメガネにかなった男の子は翌年には彼女からバレンタインのプレゼントを渡されることになっていたのだ。

つづく