ひと昔前は50代の女性を「老女」と呼んでいたらしい。
今は、とんでも無い!!っと逆襲されるのでは??っと思われる程、若々しい方が殆ど。
私の記憶の中の、息をのむ美人は、実は全て「老婦人」と言っていい、お年の女性だった。
昔はさぞかし、お美しかったのだろう・・・そんな言葉なぞ、全く当てはまらない・・・だって今が、ものすごいのだ。
その中の一人は、とあるレストランで私の斜め向かいに座っていた。
私は自分のオーダーが決められないほど、その人に見とれていた。
黒のスーツに若干、華やかなスカーフ、白髪の髪は一糸乱れぬ正確さでアップにされており、パールのイヤリング。
こうやって活字にしてしまうと80歳近いのかもしれない婦人のスタイルにしては地味すぎると思われるかもしれない。
でも・・・その方は、そこだけが、パァッと花が咲いたように派手!!!
強烈な気品~女が、お上品ぶれるのなんて、せいぜい50代まで。
60代を過ぎたら、疲れてしまって上品ぶりっこなんて続かないと思う( ;∀;)
それが、70代を過ぎて、ここまで気品の固まりでいられるのは、細胞の一つ一つまでが上品なのに相違ない。
一般的には、肉体からは若さという「清潔感」がどんどん、逃げていき、見た目には清潔とは程遠いものになっていく。
ところが、生まれも育ちも、生き方も、実際の生活も気品に満ちていた女性は一生をかけて守り抜いた気品を、まるで集大成のように年老いてから絶世のものにする。
気品とか品格が服を着て歩いているような強烈な個性で人を圧倒するのだ。
そんな気品が地味なわけはない。とにかく強烈な派手さ。
そんな女性が稀にいる。
ごくごく普通に考えたら、色香で勝負する女や、年老いた女は清潔感なんか持ち合わせてはいない。そこを、あそこまでのレベルまで持ってしまう事の意外性に私は息をのみ、感動してしまった。
でも、そんな彼女達から、とてつもない勇気も貰っている。
清潔感ってイザとなれば作れるもの。例え仕事を夜に代えても、嫌になるほど年を重ねても本気になりさえすれば、守り抜ける事を彼女達から教わったと思っている。