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デブ談義2

デブ談義2

タクシーの運転手さんが、延々と奥さんが痩せないという話をし続けるので、軽いノリでエステサロンに行けば、1キロ1万円で痩せると人から聞いた話をすると、真顔で「そうか、かあちゃんに教えてやろう」と言っていた。

この辺で到着したので車は止まったのだが、彼はいつまでも、独り言を言っていたのであった。

奥さんが痩せるのに努力していることに、こんなに関心を持っている亭主は少ないのではないだろうか?

痩せる体操を部屋でしていても、だいたいの男性は「何やってんだ」と呆れ「今さら、そんなことをやったって、しょうがないのに」と言い、「それよりも早く、ご飯を作ってくれ」と機嫌が悪くなるのが、オチなのではないだろうか?

確かに女性の痩せる願望というのは男性から見たら、「なんでまぁ、あんなことを」と呆れたくなるものなのかもしれないが、女性にとってはやはり、重要な問題なのだ。

知り合いに漢方薬好きの女性がいる。彼女が香港の漢方薬店で物色していると、そこのオジサンがやってきて、痩せる薬を熱心に勧める。彼女が「そんなに効く薬なんて、あるわけないでしょ」と適当にあしらっていると、彼は「日本からも痩せたというお礼の手紙が一杯来た」と言って、分厚いファイルを持ってきた。

彼が言う通り、そこには日本からのお礼状が沢山あった。しかし文面を見てみるとそこにあるのは、「百十キロが百キロになりました」とか「九十二キロが八十九キロになった」という、それだけ、もともとの体重が多ければ、それくらいは、すぐ痩せるだろうと言いたくなるようなものばかりだったらしい。

しかし、あまりにしつこく勧めるので、試しに買ってみたのだが服用の結果、痩せる兆候は全くない。後で調べたら、成分が痩せるためのものというより、精力減退に効くものだった。「日本円に換算すると1万円もしたのに、こんなもんに1万円払って元気にならなくてもよかった」と彼女はこの話題が出るたびに、むっとした顔をするのである。

つづく