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デブ談義4

デブ談義4

スカートのウエスト部分のベルトが、めくれ上がるのが嫌で私なりに色々考えた。スカートのウエストサイズが小さめだから食い込むかと思って、大きめのをはいてみたが、ぜい肉の力に勝てないのは同じだったし、ウエスト寸法の合わないスカートは酷くみっともない。ベルトが無いデザインも試してみたが、流行があるのか、そう簡単には見つからないし、どうもデザインがいまひとつなのである。

しまいには革のベルトを上から締めて、腹の肉と革の力比べにしてしまえばいいのではないかと、やってみたら、確かに、革でガードされて、スカート本体のベルトは丸まることはなかったが、今度はベルトのバックルが胃のあたりの肉に食い込んで痛くなった。

私は自分だけがこんな目に逢うのだと、ずっと悩んでいた。

せり出た贅肉のためにベルトがくるりと丸まってしまうなんて、余程、親しい人じゃないと言えない。ところがあるとき、友人の若い女性と漢方薬好きの女性と話をしていたら、二人とも「あら、私だってそうよ。うちにはベルトが丸まってないスカートなんてないわ」と言うではないか!

私達は、せり出た胃のあたりの肉と下腹の肉を持った同志として「お~お~」と言いながら抱き合ったのだった。

その友人は私と同じ様に、ウエストに革のベルトをしたら、ぜい肉に食い込ん苦しかったので、ゴム製のベルトをしたことがあると言っていた。太いベルトでスカートのベルトもろとも、せり出た胃のあたりの肉も締め上げようという魂胆であった。彼女の思惑どおり、仕事中、見ていると幅広のゴムが胃のあたりの肉を締めているために、ベルトの上に贅肉はかぶさっていない。よしよしと思いながら、昼食を食べるために外に出た。後輩の男性と一緒である。

しばらく歩道を歩いていたら、「プチッ」というものすごい音がした。

あれっと思った瞬間、ウエストに巻いていたベルトのバックルがはじけ飛び、本体はひゅるるーと空を飛んで、3メートル先に落下したというのだ。それを見た男性は、それが彼女のウエストからすっとんでいったものだとは気がつかず、「あれ?あれは一体何ですか?」と歩道の上のゴムベルトを、指さしたという。

「腹の贅肉をバカにしちゃいけませんよ、ゴムベルトでさえ、ひきちぎるんですから」彼女は興奮して話をしていたが、私達は余程、痩せなければ、一生、ベルトが買った時のままの状態のスカートなんかはけないんだわと、お互い慰め合ったのである。

つづく