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神の毛3

神の毛3

先日、阪急桂駅の東口近辺を散歩していて、ふと道沿いの床屋さんに目をやった途端、思わず足が止まった。鏡の前に座っているおじいさんの頭頂部がつるつるで両サイドから後ろにかけての髪も全部白髪で、おまけに薄くなっている。

ところが、その薄くなった髪に沢山のブルーや黄色のロッドが、きれいに何列も巻き付けられている途中だったのだ。

丁寧にロッドを巻く作業をしている店主も、おじいちゃんも、にこやかに笑いながら、会話を楽しんでいる。私はハゲている人が残った少ない毛にパーマをかける、という想像はしてなかったので、そういったこともあるのかと、ちょっと衝撃を受けた。

かろうじて残った少ない毛が抜けないように、ロッドに巻き付けるなんて、相当な技術ではないだろうか?

おじいさんが、あんなに嬉しそうにしているのは、床屋さんに行った後は、彼なりに男前になれる証だろう。私はそれを見て「ハゲなんかに気にするな、いくらでも男前になれる手段はあるじゃないか」とハゲに怯える男性たちに言いたくなった。そしてどうしても隠したいのであれば、植毛、かつらに頼るのも仕方がない。

しかし隠しても隠さなくても、いじけるのは無し!!

あったものが無くなるのだから、本人にすれば気になるのは十分わかるけれども、陰気の方がハゲよりも問題だ。気持ちを明るくしていれば、意気消沈していた毛根も元気を取り戻し、また、毛が生えてくるかもしれない。

ハゲたね」と言われたら「ハゲちゃった」と笑って言える明るい心。

そういう心がけでいて頂きたいと願っている。