記事詳細

母親

母親

母親というのは歳をとると、どうしてあんなに娘にべたっとくっついてくるのか?不思議に思うことがある。

当たり前の事だけれど、子供の時と年齢差は変わらないのに、子供が成長するにつれて、段々その年齢差が縮まっていくような気がしてならない。

私の母は施設に入っているので週に1度は必ず、行くようにしている。

行く都度、私が着ている服、持ち物、同じ物を欲しがる。

新しく買った服を着て行った時、「それ、いいわね~いいね」と羨ましがり、欲しそうな顔をして服の裾をつかんで、すがるような目つきをする。

ここで邪険に出来ないところが娘の悲しいところで、白髪だらけの頭や、目尻の深いカラスの足跡を見ると、つい「いいよ、あげるよ」と言ってしまう。

「あら、そう、悪いわね」・・・喜々として戦利品の服をさっさと洋服ダンスにしまうわけになる。

着て行った洋服を脱がされた私は、母が要らないと思うようなババ服を着て帰るハメになる( ;∀;)

月に一度、母の施設に洋服を売りに来る業者がいる。この時に、付き合わされたら、それは悲惨。「お婆さんみたいな恰好は嫌なの」と言って、若い人が着るような服ばかり見ている。

先日も店員さんをつかまえて、紺と茶色のベーズリー柄の服を指さして、「この模様はナスですか」など、真面目な顔をして聞いているから、私は知らん顔も出来ず、冷や汗が出てしまう。

娘は困ったと思いながらも母親の面倒をみ、母親の方は娘に甘えてちゃっかり得をする。これから歳を重ねるにつれ、ますます顕著になっていくのだろう。

まるで子供の時の自分と母親の立場が逆転したかのようだ。

よくぞ私のような子供を育てたと、感心してしまった弱みが私にはある。

きっと、あの時、わがままを言って母親を困らせたバチが今、当たっているに違いない( ゚Д゚)