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ケチ度合

ケチ度合

自分でコーヒー代を決して出さない男がいる。

コーヒーを飲み終わって立ち上がる、その絶妙なタイミングに「ごちそうさま」と言う。私はムッとして伝票をつかみ、今度こそは、私が「ごちそうさま」と言うのだと決意を固め、「お茶飲もう」と私が誘い、又、言う時期を逃し、タイミングを盗まれる。

これは、もはや芸術だね。でも彼は私が人生の金銭上の危機にぶちあたると貯金通帳とハンコを持って来てくれた。「ありがたい」・・・・私はその時ばかりは、コーヒー代の伝票は自らつかんでいる。彼はケチではない。

銀行を信用してない女がいる。彼女は札束をゴッソリ、大き目なハンドバックに入れて、一瞬たりともハンドバックから手を離さない。その紙包みに触らせてもらったが、2センチ以上はあった。いつか一緒に旅行に行こうと誘ったら、その札束入りのハンドバックを振り回し「あんたが誘ったんだから、私はタダよ~イッひっひ」と待ち合わせのホームで笑っていた。このドケチめ!!

そのドケチは、お茶漬けを食べようと一切れ、1000円もする塩鮭を2切れも持って来て、お茶をぶっかけた。私は、とてもじゃないけれど、一切れ1000円の塩鮭を、口に入れる事は出来ない。彼女は飛行機に乗って、九州の旨いものを、わざわざ仕入れに行き、それをターミナルに忘れて来て、本当に声を出して泣いていた。私は飛行機代をかけて、辛子レンコンを買いに行くなんて芸当は出来ない。

彼女は寒い日は暖房代の節約だと言って自分の家には帰らず「本当にここは暖かい。ケチの家は寒いから嫌だよね」と自分の事は棚にあげている。

そして私の金銭感覚はザルだと攻撃する。その彼女が「あんたは、本当に変な人だね。佃煮やマヨネーズの瓶をなんであんなに貯めるの?」

「だってダシ入れて冷蔵庫に入れる」「破れたトレーナーは」「切ってガラスを拭く」「だって戸棚いっぱいるじゃん、捨てれば」「いや、もったいない」「ケチだね、だいたい、あんたの電話代と暖房代でトレーナーなんか何十枚も買える」

今でこそ、息子に怒られてしなくなったけれど、私はビニール袋が捨てられなかった。どんな小さなビニール袋もとっておく。ラップも欲して2度は使う。

先日も実家のゴミ箱の上に黒い大きなビニール袋を置いて忘れて来たことに気づき、電話をした。「あれ、ゴミ入れて捨てるから、捨てないでね」と義姉に電話した。義姉は「電話代でゴミ袋何枚買えると思うの?」と呆れていた。

義姉は花が大好きで一週間に一度、ひとかかえもある花を買わずにいられず、亭主の靴下を、かがっている。

誰がケチか?わからない。