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声

「俺がひとこと、ささやけば、女は必ずパンツを脱ぐ」っと豪語している奴が短大の時に居た。

声の印象は男女問わず、とても大切だ。女子は高くて可愛らしい声であることが好まれるし、小学生の頃も、誰から教わったのか?男子と話す時だけ、ワントーン高めの声で話して、嫌われている子も居た。

デパートや公共施設のアナウンスの女性は頭のてっぺんから、声を出してるようなトーンが高く、甘ったるい喋り方が今でも殆ど。

それとは反対に男子は声が低いのがよしとされている。

先程の「パンツを脱ぎたくなる声」の持ち主を探す為に、同じ学科の友人の男子学生を探し出し、「一度、会わせてよ」っとお願いした。その彼は普段から自信家の、そいつを嫌っており、何とかして足を引っ張りたいと考えていたらしい。

彼に付いて行くと、その自信家が学科棟の前を用事があるフリをしてウロウロしていた。案内してくれた彼は「あ、あいつ、一番右の」・・・3人連れで棟から出て来た一人を指さした。友達と笑いながら姿を現した噂の男は、特別に恰好よくもなく、お洒落でもない、当たり前の、その辺のどこにでもいる学生だった。

ただ、声がやたら大きく、その視線は通りがかる女子学生を追っており、意識しているのがアリアリと見えた。

通りすがる女子学生たちは男に一瞥もくれてないのに、男の方はそれに気づかず、「ほれ、ほれ!そこのカノジョ~おれの声聞いてる?ね?ほら、下半身に響く、いい声だろ」・・・とでも言いた気に、いかにも自信過剰に俺を見てオーラを発していた。

「なに~あれ?変な奴」と友人が言い「アホちゃう!!誰もアンタのことなんか見てないわ~!!」っと私は聞こえよがしに言ってやった。

男は確かに低い声ではあった。でも私にはパンツを脱ぎたくなるほどの効果は全く無かった。

「ついたての向うで、あの声がして、万が一パンツを脱いだとしても、奴の顔を見たら、すぐにまた履くわ」と友人に言った。

その男を敵対視している引率してくれた彼は「そうだよね!そうだよね!あんな奴、絶対いやだよね~」と物凄く嬉しそうな顔をして近所の喫茶店で私達に珈琲をおごってくれた。

私が始めて男性の声の高さって大切だなと思ったのはディビッド・ベッカムの声を聞いた時。皆が知ってるようにサッカーでも顔立ちでもスタイルも欠点が無い。でもテレビの会見で初めて彼の声を聞いたとき、思わず「惜しい!!」っと言ってしまった。彼は天から二物も三物も与えられているが四物までは与えられていなかった。やはり人間は完璧な人は居ないのだと思った。