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suki

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よく女性に「隙がある」とか「隙がない」と言うけれど、私にはその意味が全くわからなかった。次から次への絶え間なく、彼氏が現れる女性もいれば、恋愛の僻地にとり残されているような女性もいる。

美人の方が彼氏獲得率は高いだろうが、中美人でも美人以上にもてる人がいる。

美形の順番で彼氏がいるわけではなさそうだ。

私は小学校の時に自分の好きなタイプの男の子とは両想いになれないと悟っていた。当時、すでに「芸者」や「姫」という、あだ名の女の子たちがいた。

小学校の男の子が見て、そのように感じてしまう雰囲気を彼女達はすでに、生まれて10年位で周囲に発散させていたのである。

一方、私はと言えば、おかっぱ頭の、あだ名が「どんぐり」だった。

いつも山やら川やら墓場で遊ぶのが大好きで年中、日焼けしていて、真っ黒だった。

芸者と、どんぐりでは、ハナから勝負にならない。

どんぐりは育ちのいい、お坊ちゃんが好みだったのに、すり寄ってくるのは、いつもうるさいと先生に叱られる男の子、鼻をたらしていて、ぼぅ~っとしている子など、いわゆる、ちょっと問題のある子ばかりだった。

どんぐりは、坊ちゃんと遊びたいのだが、鼻たれが背後につきまとって離れない。

邪魔でしょうがないのに、彼は妙に私を気に入って、席替えの時も、すぐに私の隣の席を確保して、ニコニコして座っている。授業が始まったら始まったで、ずーーっと、ぼぅーーっとしているので教科書の開くページを間違えたり、鼻を拭く、チリ紙を渡してやらねばならない。「どうして、こんな奴の世話をしなくてはならないのか?」子供心に納得がいかなかった。

父母会から帰ってきた母親が鼻たれの、お母さんに「お嬢さんには本当に、お世話になりまして」と深々と頭を下げられたとビックリしたと言う事もあった。

私は学校での出来事は母親にも父親にも一切、話さない子供だった。

つづく