30代の頃、私と女友達二人と喋っているうちに、「自分の体のなかで、どこが一番自慢できるか」という話題になったことがある。
私はこういう話題が一番、嫌いである。とにかく胸を張って自慢するところが我ながら見あたらないからだ。
友達A子は「私は指がきれいだって言われるけどね」と言った。たしかに、彼女は手のモデルをしてもいいくらい、すらっとした指をしている。
指輪をしてもその安物の指輪がとってもよく見えるくらい、指がきれいなのだ。
私と友達B子は納得してうなずいた。
「私はね・・・」B子が自分から口を開いた。こいつはいつも、えげつないことばかり言うので、もしかしたらこういう話題の時も、そうではないかと心配していたら、案の定、「外からは見えないところが自慢できる」と言いだした。
またかと思いながら「ふふん」と笑っていると「そのおかげで、今まで付き合った男みんなに、とっても感謝された」と言うのだ。
私達は「あっそ。そりゃよかったこと」と言いながら、何となく悔しくなった。
「ねえねえ、あなたは?」A子とB子の二人が私の顔をのぞきこんで言った。
この瞬間を私は恐れていたのだ。「えーーと」と言いながら、あれこれ自分の体を考えてみたのだが、平均から突出しているものが何もないのである。
「ないみたい」そう言うと、彼女達は「そんなことない。どんなにひどい人でも必ずひとつくらいは、自慢できるものがあるのよ。待ってて。私達が探してあげるから」
どんなにひどい人でも???なんちゅーーー失礼な奴らだ( 一一)
つづく