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同窓会つづき

同窓会つづき

30年ぶりの同窓会の為、会場に向かい、部屋探しをしている時に高齢者のグループの部屋を見つけ、ここでは無いと判断しそうになった時に、その会場に居た、お爺さんから声をかけられ、ここが自分が参加しようとしていたクラス会だと驚きとショックで彼女は目まいがしそうになったと言っていた。

また、彼女が夫と一緒に車で外出した際、道路沿いの喫茶店の前を掃除している老齢の男性を見かけた。その店は中学校の同級生の家で、友達とよく遊びに行ったのである。彼女は男性の姿を見て、「ああ、彼のお父さん、まだ、ご健在なんだわ。お元気でよかった」と思ったのだが、しばらくして、あれっと首をかしげた。

あの時は確か、お父さんは40代の半ばだったし、それから50年たっている・・・と計算してみると掃除をしていた男性は、その年齢よりは若い。

それで初めて、掃除をしていた男性が自分と同い年の同級生だったと分かった。

彼女はそれらのダブルパンチで「私って本当に自分のことが分かってなかったなぁって反省したわ」とガッカリしていた。

ある年齢以上になると同い年の人と見比べて、あの人より自分の方が若いと思ったりするものだ。しかし相手も同じように、自分の方が若いと思っていたりする。

それを口に出すと揉め事が起こるのも重々分かっているので誰も口に出さない。

それで丸く収まっているのである。ショーウインドーに映る自分の猫背の姿を見て、ギョッとしたり、ぱっとしない人が歩いていると思ったら我が身だったり、皆、経験がある。老いた自分も認めている。それでも同い年の人々と比べて自分は若いとちょっと嬉しくなり、ささやかな喜びを感じているのだ。

黙って腹の中に収めていれば分からないのだから、それくらいは、いいんじゃないかと思う。私は彼女に「みんな多かれ少なかれ、そうやって、こっそり自分に甘くしているところはあるんだから、気にすることないわよ」と慰め、二人で、けけけっと苦笑したのであった。