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怖いオヤジ

怖いオヤジ

愛するワンコが虹の橋を渡ってから、当たり前の事だけれど散歩に出かける事もなく、昨年、引っ越ししたものの、近所に何があるのかも全く知らなかった。

昨日、冷蔵庫を見ると、人参、じゃがいも、トマト、ウインナーが残っていたのでポトフを作ろうと思ったがセロリが無い。

歩いて10分程の所に西友があるのだけれど、たかがセロリ一本だけ買いに行くのもなぁ~っと思っていたら、近所に肉屋さんの中に野菜も置いていた事を思い出し、そこに散歩がてら行って来た。

その店は友人から噂は聞いていた。バリバリの江戸っ子のオヤジがやってる店だと。ズラリと並べられた肉の隅っこに、ついでの様に野菜が置かれている。

「セロリちょうだい」「あ、セロリない」「えー、なんで?」

オヤジは私と同じ位の歳である。

「だって、俺、嫌いだもん、くせえんだもん」っとオヤジは言った。

「え~~!だって八百屋じゃんか」←私まで江戸弁に(笑)

「くせえもの嫌いなんだよ」私はビックリしてモゴモゴしてしまった。

「売れ残るだろ、夜、食わせられるんだよね。だから置かない」

「ふーーん、じゃ、いつ来ても無いんだ」「だって俺、嫌いだもん」

こういうのを見上げたオヤジと言うのだろうか?仕方が無いので通りをブラブラ歩いてセロリ一本買いに西友まで行った。

その帰りに煙草が切れてたのでコンビニまで行った。

何だか、見た様な顔のオヤジがいた。オヤジはレジで煙草を買い乍ら、私の顔を見て笑った。ビックリ!!先程の肉屋のオヤジだった。

商店の人って店の外で見るとピンと来ない。このオヤジって笑うんだとビックリした。そして、にこやかに「いや~今日は寒いねぇ」とまるでフツーの人のように言った。私もフツーの人みたいに「ホントですねぇ」とか驚きながらも答えてしまった。でもオヤジは「そこ、そこじゃないの、もっと右!」とレジの女の子に指示していた。マルボロメンソールのありかを身を乗り出して教えていた。

驚いたことにドアの所で私にヒラヒラ手まで振った。

私はいつも怒っているオヤジを楽しみに、これからも野菜を買いに行こうと思っていたのに一気に気持ちが萎えてしまった。