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500円玉貯金

500円玉貯金

自分と同年輩の人々の貯金額のデータを見て、想像よりも多いのに驚いた。

私には貯金はない。私の悪い癖で「貯金が人生の目的じゃないしなぁ」・・・そう言った途端、私の中で、どうでもいい問題となってしまう。これまでも、様々な問題を、全てこれでやり過ごして来ている。

日焼けしてシミが増えれば「色白が人生の目的じゃない」

贅肉がついてきた下腹を見ては「ダイエットが人生の目的じゃない」

そう口に出して言ってみると、全てが、どうでもよく、悩んでも仕方がない問題に思えて来るのだ。

気付いた時点で、何とかしなければと考えれば、又、違う展開もあるのだろうけれど、すぐに「ま、いいか」となってしまうので何もしない。

貯金はたまらず、増えるのは白髪と体脂肪だけという能天気な私が、最近、500円玉貯金を始めた。何故500円玉か?

日々、余った小銭を貯めるのは性に合わないし、500円玉は重みがある。

メダルを集める感覚で、これなら出来そうな気がして昔、可愛くて買っておいた猫の素焼きの貯金箱があるのを思い出し、ひっぱり出してきた。

お腹の部分にゴムのキャップがあるタイプで、割ってお金を取り出すタイプだと顔のあるものは壊すのに忍びないが、取り出せるタイプだと、気が楽だ。

3か月足らずで、お金が入らないくら一杯になり「わぁ~やれば出来るじゃん」とほくほくしながら、猫を持ちあげた途端、500円玉の重量に耐えかねたキャップが外れ、猫の腹からどどどーっと500円玉が出てしまった。

散らばったのを集めて数えてみると5万円もあった。ボーナスをもらった気分である。これを、どう使うか??

これで5万円の品物が買えるけれど、一度に使うと、いっとき騒動になった、500円玉偽造犯人の一味に間違えられるかもしれない。でも、このまま、置いておいても、どうにもならない。

「う~む、チマチマ使うしかないか~」

貯金計画は無残にも中止となり、500玉の山は日々の買い物に遣われている。

自分で貯めた、お金なのに、遣うたんびに嬉しくて仕方がない。

やっぱり、どこまでも能天気な大馬鹿野郎だと納得しつつ、今日も500円玉を握りしめ、サンマを買いに行くのであった。