昼間、サロンの近くのレストランに入ると、そこはおばさんの巣窟である。
娘と食事をしていても隣のテーブルにいるおばさんたちの声の方がものすごく大きい。そのパワーに負けて私達はどんどん無口になってしまい、しまいにはおばさんたちの会話を清聴する、という形になってしまう。
「あたし、この頃太ったのよねぇ」そう言ったのは、ショートカットの太ったおばさんだ。「この頃太った」というフレーズは、以前、やせていて、最近になって肉がついてきたという、ニュアンスである。ところが彼女は20年前からずーっと太っていて太り馴れている雰囲気を漂わせていた。
「そう?わからないけど」別のおばさんが言った。
(45キロの人は3キロ太っても目立つけど、80キロの人が3キロ太ってもわかるはずがないわさ)←私の心のつぶやき
「自分でもね、どこに肉がついたかわからないのにヘルスメーターにのったら増えてるの」
あまり、おばさんが太った、太ったと言うので、私は彼女のどこが太ったのか?目の前の料理を食べ乍ら横目で点検した。
どっしりした下半身、でっぷりした上半身、どちらも昨日、今日、できあがるものではない。そして彼女の頭部に目をやった時、ビックリしてしまった。
むき出しになっているうなじが、もりもりと盛り上がっていたからである。
つづく