30歳を過ぎた時、体の中でまず気になった部分は、二の腕である。
私や女友達の間では「二の腕」のことを別名「ぶるぶる」と呼んでいる。
人と別れるときに「さようならあ」と手を振る。すると二の腕の贅肉が、まるで着物のたもとのように「ぶるぶる」するからなのだ。
若い女性のむきだしの腕はそれなりにいいものである。色の白いの、黒いの、太いの、細いの、どんな腕だって若さがみなぎっている。しかし、30歳すぎたら、もういけない。太い、細いにかかわらず、望みもしないのに、二の腕はちゃんとたるんでくる。
ためしにつまんでみると、びろーーんと贅肉がのびる。押すとぷよぷよしている。いかにも「無駄なお肉が余っています」という感じなのだ。
中年のおばさんで野球選手の太もものような腕を平気でノースリーブから出している人がいる。そういう姿を見ると「少しは人の迷惑も考えろ」と言いたくなる。
親しい間柄なら「前足を出すな!」と注意喚起しているところだ。
おばさんたちは、女性であることを捨てたから、あんな大胆なことも出来るのだろうが、あそこまで開き直れない私は夏場は「ぶるぶる」を半袖でしっかりと隠す。そして腕の太さが服でごまかせる冬場のうちに「ぶるぶる」をなくす方法に頭を悩ませるのである。
つづく