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大盛り

大盛り

パソコンや携帯電話の普及でブログを開設しているブロガーが増え、自分の考え、生活、趣味を世の中に公開している。

私は思いつくまま、感じたことを、そのまんま文字にしているので、人様の、お役に立っているとは思っていない。

でも知り合いのブログや自分と同じ趣味のアウトドア関連のブログを見るのは楽しみだ。仕事の合間に不細工で可愛いワンコ達の画像を見ては顔の筋肉をゆるめたり、海関連、魚釣り関連のブログを見ては「へええ」と感心したりしている。

ブログは一度開設すると、こまめに更新しなければ意味がなく、一日に何度も更新する人もいると聞いた。写真や文章をその都度、選んで打って、公開する手間も大変だろう。「皆、こまめに更新しているなぁ」と尊敬のまなざしで見ているのである。

つい先日、IT関連に勤務している若い女性とブログの話になり「色々な人がやってますけど、結構、「盛ってる」人も多いらしいですよ」と言っていた。

「盛ってる」ってどういう意味かと聞いてみたら、「本当はそんな生活をしていないのに、しているふうに装っているっていうことです」と言うのだ。

彼女の友人の家の近所に住んでいる主婦のなかに、ブロガーがいる。

ご近所で彼女とは顔見知りなので、それを知った友人が興味を持って見てみたら、最初はごく主婦の生活ブログだったのに最近の記事は「あれ?」っと首をかしげる内容になってきた。

「今日のランチはこれです」と画像が掲載されているのだが、それが主婦が家で食べる一人の昼食にしては、とても豪華なのである。まるでホテル内のカフェで出てきそうなのだ。それが、ほぼ連日繰り返されているので、その主婦と親しい近所の人に聞いてみたら「ああ、あれはね、盛ってるの」

ときっぱり言われた。ブログのために市販の調理品を買ってきて、それをうまく盛り付けて、さも自分が作ったかのようにしているのだった。

「晩御飯も、たまに盛ってるらしいし、子供用の手作りバッグも、お母さんに縫ってもらったのを自分が作ったって言ってるのよ。あのひと、本当はカップ麺が大好きで家の中に安売り店でまとめ買いした段ボールが積んであるんだから」

ブログは自分のありのままを表現する手段ではなく、虚構を演じる手段でもあった。その盛ってる主婦と親しい人々は、ブログを見ても「ああ、また、やってる」くらいにし思わなくなったと言う。

主婦は自分の憧れの生活を演じているのだろうが、マメな性格には変わりはないので、私は「よくおやりになっていますね」と、その点のみ心の中で認めて差しげている。